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【Amb._Remi】深町レミのサバイバル生活 vol.2〜

2023/08/16

SNOW ANGEL MAGをお読みのみなさん、こんにちは!
新アンバサダーの深町レミです♩
今回は、7/26に公開された「深町レミのサバイバル生活①」の続編をお届けしたいと思います!
前回の記事はこちらをご覧ください!


前回は魚突きなど色々なサバイバルについてお届けしたのですが、今回は私が以前オーストラリアの原住民・アボリジナルピープルと生活していた時のことをお話ししたいと思います。

デジタルネイティブの初期世代として育ち、小学2年生から携帯を持っていた私は、ネット環境のない世界に行くことがひとつの夢でした。携帯もパソコンもない世界というものがあまりにも想像がつかなくて、「そういう世界に行ってみたい!」という気持ちが中学生の頃に芽生えはじめました。

時は流れ、大学生の時に、“アボリジナルアート”の展覧会にたまたま行くタイミングがありました。メインの展示は絵画でしたが、テーブルに数冊置かれたスナップ写真のアルバムを見て、「これだ!」と思ったのを覚えています。そこには、狩猟採集生活をしたり、地面に座ってアートを描いている人々の姿があり、直感的にここに行きたい、と感じました。
その場でアート展の主催者の方に一緒に行ってみたいことを伝え、その後ご縁にも恵まれ、わたしの夢の旅が始まることになりました。


2018年5月、22才。オーストラリアに1ヶ月の旅へ。
アボリジナルピープルは、植民地化や白人同化政策、親子強制隔離政策を含めた迫害などたくさんの悲しい過去があって、今があること。行く前から、「ただの珍しい面白い旅」だとはまったく思っておらず、最大限の敬意を持って接したいと思っていたので、文化人類学を踏まえた彼らの歴史について勉強してから出発しました。
何が起きても受け入れる覚悟でした。
実際に着いて彼らと生活してみると、私が想像していた原始的な生活とは全く異なることを知りました。事前に学習できる文献には、都市部で生活している人々について書かれているものがほとんどだったんです。しかし、私が行った場所はノーザンテリトリー州にあり1番近くの街から500km離れている、彼らの元々の生活が保護されている観光客は一切立ち入れないエリアだったため、自分で見聞きし体験することが全てでした。

彼らは「大地」とのつながりを最も大事にしており、「自分たちは大地のお世話をするために存在している」といいます。オーストラリア政府の保護により居住区には家が建てられていますが、多くの家庭ではこのようにベッドが屋外に出されていました。

今回の記事では多くは語れませんが、大地と彼らの非常に強いつながりを感じる瞬間が多くありました。
点描画で知られるアボリジニアートも、その内容は水の在処や動物の居場所を伝える地図だったり、大地とつながる儀式の様子だったり、大地との精神的なつながりを表現しているものがほとんどなのです。

居住区を出ると地平線まで見渡せる広大な大地と広い青空が! 昼間はカンガルー狩りに同行させてもらいました。

カンガルー狩りの1コマ。

この日獲ったのはメスのカンガルーで、お腹には赤ちゃんが。村の子供達が育ててそのうち食べるのだそう。

ちなみに獲ったカンガルーは狩場から少し離れた場所で土に埋めながら焼き下処理をしてから帰りました。村に戻ると村人を集めて、みんなで切り分けて食べました。

私が彼らと一緒に生活をして1番感動したことは、彼らの言語(Pitjantjatjara)には、「ありがとう」という言葉がないということ。食べ物だけではなくあらゆるものにおいて「シェアする」ことが当たり前で、あまりにも当たり前なので「ありがとう」という言葉が存在しないのだそうです。

分け与え、分け与えられる。
「ありがとう」という言葉を素敵だと思っていましたが、この経験を通じて、その言葉自体が存在しない、ということがどれだけ美しく尊いことなのかを知りました。

カンガルー狩りのほかにも巨大なイモムシ狩りにも! 鉄の棒で木の根元を堀り、根っこを取り出して折ると、その中にいるんです。
彼らに最大限の敬意を払うということは、彼らの生活をリスペクトし習うということだと考えているので、もちろんカンガルーもイモムシも、なんでも食べました。

狩りの話ばかりしてしまいましたが、居住区にはオーストラリア政府が作った商店もあるんです。彼らは政府からの支援金や、アートや物販で稼いだお金をATMから引き出すことができます。
ひとつ面白かったことは、彼らには前述のとおりシェアの文化が備わっているためか、大人がATMから引き出したお金をその場で子供たちに配っていたこと。しかも結構な額でした(笑)。本当に”損得ではなく、すべてをシェアするんだな”と知り、学ぶことがとても多かったです。

ちなみに、アボリジナルピープルと過ごした体験を話すと、結構な割合で彼らを見下す発言をする人が多く、悲しい気持ちになることが多々あります。
私は西洋文化や西洋の生活様式が優っているとは全く思っていませんし、見下すため・話のネタになる経験をするために旅をしたわけではないことを知ってほしいと強く思います。人間関係の構築の仕方やシェアの概念などについて考えると、彼らの思想は私たちにとって理想の姿だといえるのではないでしょうか。
文字が書けること、現代的な生活をしていること。
そういったことを「優れている」と思っている人が一定数いますが、それは違うと私は思います。
それぞれの人種や文化や歴史、生活に、上も下もありません。善悪もありません。ただ「異なる」という、本当にただそれだけのことなので、フラットに受け入れることが大事だと思っています。

彼らには敷かれたレールは存在しません。自分で考え行動し、自分たちの命を繋ぐ術を知っています。
誰かと比べて自分の存在価値を確認するのではなく、常に相手に対する敬意と、相手から学ぶ姿勢を持つこと。
それが差別や偏見のない世界に繋がっていくと信じています。

サバイバルや旅はいつも人生に大きな気づきを与えてくれます。自分の知らなかった世界を知るたびに、多くのことを学び、自分の生き方・考え方を問い直します。そしてそのたびに、”もっと広い世界を知りたい!”って思うんです。

数年にわたるパンデミックも終結に近づいてきたので、そろそろまた新しい旅に出たいな、と思っています!
長くなりましたがお読みいただきありがとうございました!

 


 

SNOW ANGEL アンバサダー
深町レミ
スノーボード歴2年、最近はパウダーランにハマり、日本全国の山をめぐってスノーボードを楽しんでいる。特にサバイバル、ひとり海外旅、素潜り、スキューバーダイビング、魚突き、水中写真、キャンプ、スケボー、DJ、動画制作など趣味が多く、SNOW ANGEL MAGではさまざまな記事をアップしてくれる予定!
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